マットレス選びって、思ったよりむずかしいですよね。
「硬さはどれがいい?」「素材の違いって何?」「体重や寝姿勢は関係あるの?」
――迷ってしまう理由は、寝心地を数値で判断しにくいから。
この記事では、睡眠健康指導士が実体験をもとに“マットレス選びの基本”をわかりやすく解説。あなたの悩みをひとつひとつ解消しながら、最適な1枚を見つけるお手伝いをします。
この記事の監修者
身長175㎝/体重62㎏。眠ハックの運営者。睡眠の質向上には寝具が重要と気づいて7年経つ寝具選びのプロ。自宅の一室は検証のためのマットレスだらけ。マットレス以外にも睡眠の大切さを世の中に広げる活動をしている。
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マットレス選びで失敗しないために大切なこと
マットレスは毎日使うものだからこそ、「なんとなく」で選ぶと後悔しやすい寝具です。
とくに多い失敗は以下のようなもの。
マットレス選びでの失敗
- 買ってみたら「硬すぎて寝返りがつらい」
- 柔らかすぎて腰が沈み、朝起きると疲れている
- 通気性が悪く、カビやニオイに悩まされる
上記はすべて、自分の体型・寝姿勢・生活環境に合っていないマットレスを選んでしまったことが原因です。
そして、マットレス選びで失敗しないためには、以下の3つの視点を押さえることが大切になります。
自分の体重・体型に合った「硬さ」か?
「硬めが好きだから硬いのを」ではなく、体重に応じた適正硬さを選ぶことが重要です。
たとえば体重50kg以下の方が180N(かなり硬め)のマットレスを選ぶと、体が浮いてしまい、腰や肩に負担がかかることがあります。逆に体重80kg以上の方が柔らかめのマットレスを選ぶと、沈み込みすぎて寝返りがしづらくなります。
好みではなく「支えられるかどうか」で選ぶのが、後悔しないポイントです。
素材や構造がライフスタイルに合っているか?
マットレスには、ウレタン・コイル・ラテックス・ファイバーなどさまざまな素材があります。それぞれ寝心地や通気性、耐久性が異なるため、生活環境との相性がとても大切です。
たとえば「フローリングにマットレスを直置き」する場合、通気性の低いウレタン素材だとカビが発生しやすくなります。一方、ファイバーマットレスなら湿気に強く、毎日立てかけて干すのも簡単です。
「どんな寝心地が好みか」だけでなく、「どんな部屋で、どう使うか」も選ぶ際の重要な判断材料になります。
素材ごとに「合う・合わない」がある
マットレスの素材にはそれぞれ特性があり、使う人の体質や住環境によって向き・不向きがあります。以下の表を参考に、自分に合う素材をチェックしてみてください。
素材 | 向いている人 | 向かない人 |
---|---|---|
![]() ウレタン |
・コスパ重視 ・軽量で取り扱いやすいものを探している人 |
・湿気が多い部屋で直置きしたい人 ・ムレやすさが気になる人 |
![]() コイル (ポケット/ボンネル) |
・しっかり支える寝心地が好み ・体圧分散性を重視したい人 |
・音や重さが気になる人 ・搬入経路が狭い部屋 |
![]() ファイバー |
・通気性重視 ・直置きや立てかけをしたい人 |
・クッション性を求める人 ・寒がりな人 |
![]() ラテックス |
・自然素材志向 ・弾力性のあるフィット感が好きな人 |
・ゴムアレルギーがある人 ・価格を抑えたい人 |
自分の寝姿勢・悩みに合っているか?
横向き、仰向け、うつ伏せなど、寝るときの姿勢や体の悩みによって、合うマットレスは変わります。
たとえば横向き寝が多い人は、肩や腰に圧力が集中するため、適度に沈み込むマットレスが向いています。一方、腰痛持ちの人には、腰が沈みすぎないよう支えがあるマットレス(中〜硬め)がおすすめです。
「人気があるから」「有名ブランドだから」ではなく、“自分に合うかどうか”が最重要ポイントです。
【早見表】寝姿勢別|おすすめのマットレスの硬さ
以下は、主要な寝姿勢ごとの体への負担と、それに合ったマットレスの硬さ目安です。自分の寝方に合ったものを選ぶことで、快眠と疲労回復にぐっと近づきます。
寝姿勢 | 特徴・負担がかかりやすい部位 | おすすめの硬さ |
---|---|---|
横向き寝 | 肩や腰に圧力が集中しやすい。骨盤の左右差も出やすい。 | やや柔らかめ〜ふつう(120N〜150N) |
仰向け寝 | 腰が沈みすぎると反り腰になる。体のS字ラインを支える必要あり。 | ふつう〜やや硬め(150N〜180N) |
うつ伏せ寝 | 首・腰に強い負担。沈みすぎると呼吸しづらくなりがち。 | やや硬め(170N前後) |
寝返りが多い人 | 反発力が重要。沈み込みすぎると寝返りが妨げられる。 | 硬め(180N以上)+高反発素材推奨 |
※数値はウレタン素材に多い「ニュートン(N)」の目安です。
マットレスの「素材別」特徴と向いている人
マットレスの素材によって、寝心地・通気性・扱いやすさ・耐久性などが大きく異なります。
ここでは代表的な4つの素材と、それぞれの特徴・向いている人を解説します。
代表的な4素材
- ウレタンマットレス|反発力とコスパ重視派に
- コイルマットレス|バランス重視派に
- ファイバーマットレス|通気性・手入れ重視派に
- ラテックスマットレス|自然派・フィット感重視派に
ウレタンマットレス|反発力とコスパ重視派に
ウレタンフォームは、コイルなどを使わずに体を面でしっかり支える素材。価格も比較的安価で、軽く扱いやすいため人気です。
- 通常の「高反発ウレタン」は寝返りがしやすく、腰痛対策にも向く
- 「低反発ウレタン」はフィット感があり、包まれるような寝心地が特徴
消費者庁HPに記載されている基準もありますが、以下の表では当サイトが検証してきたN値の硬さ感覚と適正体重をまとめてます。ウレタンマットレス選びの参考にしてみてください。
N値と硬さの感覚と適正体重と体型 |
|||
ニュートン(N) | 硬さ | 適正体重 | 体型 |
180N | けっこう硬い![]() |
70㎏以上 | 大柄な方 |
150N | 硬め![]() |
50~70㎏未満 | 標準体型 |
120N | 普通![]() |
30~ 50㎏ 未満 | 小柄な方 |
90N | 柔らかめ![]() |
||
60N | けっこう柔らかい![]() |
30㎏未満 | 小さなお子様 |
コイルマットレス|バランス重視派に
内部にスプリング(バネ)構造を持つマットレス。特に「ポケットコイル」は点で支える設計のため、体圧分散性に優れたバランス型。
- コイルの数や線径、配列によって硬さ・耐久性が変わる
- 揺れに強く、2人で寝ても動きが伝わりにくい
また、スプリングコイルは、コイルの数、線径、配列、巻き数、高さの5つの指標により総合的な硬さが決まります。どれかひとつが硬めの値でも、他が柔らかめなら仲裁されていくイメージです。各指標について説明します。
仕様 | 概要 |
---|---|
コイル数 | 数が多いほど硬め。弾力・体圧分散性・耐久性も上がる。平均コイル数は約450個。 |
コイルの線径 | 線径が太くなるほど硬め。1.7mm以下=柔らかめ、1.9mm=ふつう、2.1mm=硬め。 |
コイル配列 | コイル配列には「並行配列」と「交互配列」の2種類がある。前者が柔らかめ、後者が硬め。 |
コイルの巻き数 | 巻き数が多いほど硬め、少ないほど柔らかめ。一般的に5~8巻。 |
コイルの高さ | 高さが低いほど硬め、高いほど柔らかめ。170mm=柔らかめ、140~170mm=ふつう、140mm=硬め。 |
ファイバーマットレス|通気性・手入れ重視派に
プラスチック樹脂素材を網目状に加工したマットレス。水洗い可能で通気性が非常に高く、蒸れにくいのが最大の特徴です。
- 毎日立てかけられるので、湿気がこもりにくい
- 軽量で取り扱いやすく、直置きにも強い
ラテックスマットレス|自然派・フィット感重視派に
天然ゴム由来のマットレス素材で、高い弾力性と耐久性を持ちます。柔らかくも沈みすぎず、独特の反発感があります。
- 自然派志向の人に人気
- 高級志向のブランドでよく採用されている
【表で確認】体型・体重別おすすめの硬さ・素材早見表
体重や体格によって、適したマットレスの硬さや素材は大きく変わります。
以下の表を参考に、自分の体型に合った選び方をチェックしてみましょう。
体重 | おすすめの硬さ(目安) | おすすめ素材 |
---|---|---|
30kg未満(小柄・子ども) | 柔らかめ (60N〜90N) |
低反発ウレタン、ラテックス |
30〜50kg | やや柔らかめ〜ふつう (90N〜120N) |
ウレタン、ポケットコイル |
50〜70kg(標準体型) | ふつう〜やや硬め (120N〜150N) |
高反発ウレタン、ポケットコイル、ファイバー |
70kg以上(大柄・がっしり体型) | 硬め (150N〜180N以上) |
ボンネルコイル、高密度ウレタン、ファイバー |
※数値はウレタンのニュートン(N)表記を基準としています。素材によって体感硬さは異なるため、参考目安としてご活用ください。
迷ったらこれ!目的別の選び方
ここまで読んでも「結局どれを選べばいいか決められない…」という方も多いはず。
そんなときは、“自分がマットレスに求めるもの”を明確にすることが最も効果的な判断基準になります。
以下に、よくある悩みや目的ごとに最適な素材や特徴を整理しました。自分のライフスタイルや睡眠の悩みに合わせて、参考にしてみてください。
目的・悩み | おすすめの特徴・素材 |
---|---|
腰痛対策 | 体圧分散性が高く、沈み込みすぎない高反発ウレタン、ポケットコイル |
寝返りしやすさ | 反発力のある高反発ウレタン、ファイバー素材 |
蒸れ対策・通気性 | ファイバー、コイル、ラテックス(通気構造があるもの) |
パートナーと一緒に使う | 振動が伝わりにくいポケットコイルマットレス |
軽くて扱いやすい | ウレタンマットレス(三つ折りタイプなど) |
カビ・湿気対策 | 通気性の高いファイバー素材。直置きに強い。 |
どんな高性能なマットレスでも、あなたの悩みや使い方に合っていなければ満足度は下がります。「何を解決したいのか」から考えると、選ぶべき方向が見えてくるはずです。
マットレス選びに迷ったら「診断ツール」も使ってみよう
「ここまで読んでもまだ迷う…」という方は、眠ハックの無料マットレスAI診断ツールがおすすめです。身長・体重・悩みなどを選ぶだけで、あなたに合ったマットレスの硬さや素材タイプを自動で提案します。
まとめ|自分にぴったりのマットレスを選んで快眠を
マットレス選びにおいて大切なのは、「人気」や「高級さ」ではなく、あなた自身の体に合うことです。
体重や寝姿勢、ライフスタイル、そして睡眠における悩みに合わせて選ぶことで、毎朝スッキリとした目覚めが手に入ります。この記事が、あなたにとっての“後悔しないマットレス選び”の一助となれば幸いです。
今 真一