マットレスを長く清潔に保ち、快適な睡眠を維持するためには、正しいお手入れが欠かせません。湿気・汚れ・へたりは、マットレスを劣化させる3大要因。ですが、実は毎日のひと手間とちょっとした工夫で、これらをしっかり予防できます。
この記事では、誰でも簡単にできるお手入れ方法を7つに分けて、頻度・効果・注意点をわかりやすく解説。さらに、ウレタン・コイル・三つ折りなどの素材別のお手入れ方法や、お手入れをラクにするアイデアもご紹介しています。
この記事の監修者
身長175㎝/体重62㎏。眠ハックの運営者。睡眠の質向上には寝具が重要と気づいて7年経つ寝具選びのプロ。自宅の一室は検証のためのマットレスだらけ。マットレス以外にも睡眠の大切さを世の中に広げる活動をしている。
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マットレスのお手入れ|まず覚えたい7つの基本
マットレスの寿命を縮める主な原因は、湿気・汚れ・へたりの3つです。これらを放置するとカビやダニの発生、寝心地の悪化につながります。
以下の7つのケアを日常的に取り入れることで、マットレスを清潔に、そして長持ちさせることができます。
お手入れ方法 | 対策できるもの | 推奨頻度 |
---|---|---|
掛け布団をめくる | 湿気 | 毎日 |
シーツを洗う | 汚れ | 週1〜2回 |
陰干し | 湿気 | 2週に1回 |
掃除機をかける | 汚れ | 月1回 |
ベッドパッドを洗濯 | 汚れ | 2〜3ヶ月に1回 |
ローテーション | へたり | 2〜3ヶ月に1回 |
クリーニング | 蓄積汚れ | 2年に1回 |
以下では、それぞれのお手入れ方法を簡単に紹介します。
掛け布団をめくる|毎日
朝起きたらまず掛け布団をめくって、マットレス内にこもった湿気を逃がしましょう。人は一晩でコップ1杯分もの汗をかくため、そのままにしておくとカビの原因に。
たった5秒でできる簡単ケアなので、毎朝の習慣にしましょう。
シーツを洗う|週1〜2回
汗や皮脂、髪の毛が付着しやすいシーツは、週1〜2回のペースで洗濯を。特に春〜夏は洗濯頻度を増やすことで、清潔な状態を保てます。
はがす際にはホコリが舞わないよう、静かに外しましょう。
陰干し|2週に1回
湿気対策には、2週に1度の陰干しが有効。マットレスを壁に立てかけ、4時間〜1日かけて自然乾燥させましょう。
重くて持ち上げられない場合は、下にモノをかませて風通しを確保し、扇風機などで風を送りましょう。
掃除機をかける|月1回
ダニのえさとなる皮脂や髪の毛は、月1回の掃除機がけで除去しましょう。角や縫い目にゴミがたまりやすいため、重点的に行うのがポイントです。
ローテーションする|2〜3ヶ月に1回
マットレスの向きを変えることで、同じ場所ばかりがへたるのを防げます。前後の入れ替えや裏表の反転を2〜3ヶ月ごとに実施しましょう。
ベッドパッドを洗濯する|2〜3ヶ月に1回
シーツの下にあるベッドパッドも、寝汗の影響を受けます。2〜3ヶ月に1回を目安に洗濯し、カビやダニの発生を防ぎましょう。
詳しい違いについては、「ベッドパッドと敷パッドの違いは?両方必要な場合とそうでない場合」をご参照ください。
クリーニングする|2年に1回
自宅でのケアでは落としきれない汚れは、プロのクリーニングに頼るのが効果的。2年を目安に、業者による丸洗いを検討しましょう。
素材によって対応可否が異なるため、必ず取扱説明書で確認を。詳しくは「マットレスのクリーニングとは?料金相場や頼み方」もチェックしてみてください。
素材別|マットレスのお手入れ方法まとめ
マットレスの素材によって、お手入れ方法には違いがあります。誤った方法で扱うと、劣化やへたりの原因になることも。ここでは、主要3タイプの特徴と注意点を解説します。
コイルマットレス
コイルマットレスは構造がしっかりしている分、製品によっては水洗いできるタイプとできないタイプがあります。
コイルマットレスのお手入れ
- 洗えるタイプかどうかは取扱表示・説明書で確認
- 広範囲の汚れやニオイは専門業者でのクリーニングがおすすめ
- 軽いシミは重曹・中性洗剤・クエン酸などで部分洗浄も可能
たとえば「ポケットコイル」などは通気性がよくても、内部にスプリングがあるため水分が溜まりやすい場合も。まずは洗濯表示や取扱説明書をしっかり確認し、対応の可否を見極めましょう。
また、もし「子どもが飲み物をこぼしてしまった」などで広範囲に汚れやニオイが広がった場合は、無理せず専門のクリーニング業者に依頼するのが安心です。家庭で落としきれない汚れも、専用の機材と洗剤で徹底的に洗浄・乾燥してくれます。スーツをクリーニングに出すように、「マットレスをプロにまかせる」という選択肢も検討してみましょう。
▶ 詳しくは「マットレスの洗い方|コインランドリーで洗濯できる?」
ウレタンマットレス
ウレタンマットレスは、「高反発タイプ」と「低反発タイプ」で水への強さやお手入れの方法が大きく異なります。まずはご自身のマットレスがどちらかを確認することが大切です。
コイルマットレスのお手入れ
- 高反発ウレタン:洗えるものもあるが、必ず洗濯表示を確認。
- 低反発ウレタン:水に弱いため、洗濯・クリーニングはNG。
- 部分汚れには、中性洗剤を含ませた布で優しくたたくように吸い取る。
高反発ウレタンには、洗濯可能な製品もあります。特にカバーだけでなく本体も水洗いOKなものは、軽量でメッシュ構造のものに多いです。ただしすべてが洗えるわけではないので、必ず洗濯表示や取扱説明書をチェックしましょう。誤って洗うと、素材が傷んでしまう恐れがあります。
一方、低反発ウレタンマットレスは水に非常に弱い素材です。水分を吸うと復元力が落ちたり、ウレタンがボロボロに崩れてしまうこともあります。例えるなら、スポンジを濡らしてから強く握るとちぎれてしまうのと似ています。洗濯やクリーニングは絶対に避けましょう。
三つ折りマットレス
三つ折りタイプのマットレスは、収納性に優れ、コンパクトに畳めるのが魅力ですが、使われている素材によってお手入れ方法が大きく異なります。
コイルマットレスのお手入れ
- 素材によりお手入れ方法が変わる。ファイバー素材は水洗いOK、ウレタンはNG。
- 頭・腰・足のブロックを定期的に入れ替えることで、へたり対策に。
たとえば、ファイバー素材のマットレスであれば、内部まで空気が通りやすく、シャワーで丸洗いできるタイプが多くあります。お風呂場でジャブジャブ洗って、立てかけて乾かすだけなので、梅雨時や小さなお子さんのいるご家庭にもぴったりです。
一方で、ウレタン素材を使った三つ折りマットレスは水分に弱いため、洗濯や水洗いはNG。先述のウレタンと同様に、部分汚れをやさしく叩いて処理するのが基本です。素材を傷めないよう、拭いた後は風通しの良い場所でしっかりと乾燥させましょう。
さらに三つ折りマットレスには、頭・腰・足の3つのパーツを入れ替えられる構造を活かすことで、へたりの進行を遅らせることができます。特に腰部分は体重がかかりやすく、使用を続けるとすぐにへたりやすくなります。
お手入れをもっと簡単に!ラクに清潔を保つ工夫
「毎回のお手入れが面倒」「重いマットレスを動かせない」という方に向けて、お手入れの負担を軽くする2つの方法をご紹介します。
① お手入れしやすい素材を選ぶ
もしマットレスの買い替えを検討しているなら、軽量で通気性のよい素材を選びましょう。
- ノンコイルマットレス:軽くて持ち上げやすく、陰干しが簡単
- ファイバー素材:水洗いできて乾きも早い、衛生的
マットレスの買い替えを考えている方は、お手入れのしやすさも選ぶポイントに。軽くて通気性に優れたノンコイルや、水洗い可能なファイバー素材なら、日々のケアがグッと楽になります。忙しい方や衛生面が気になる方にもおすすめです。
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参考【専門家が推奨】高反発マットレスおすすめ7選
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② 敷パッド・プロテクターを活用する
マットレスの汚れを防ぐには、敷パッドや防水プロテクターの併用がおすすめ。
- 寝汗や皮脂がマットレス本体に届きにくくなる
- 洗濯の頻度が敷パッドのみで済むので手間が軽減
敷パッドやプロテクターを活用することで、お子さんやペットと寝ているご家庭は不意な汚れにも安心して対応可能になります。
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参考マットレスプロテクターおすすめはコレ1択|カビ・ダニや汚れから寝具を守ろう!
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まとめ|正しいお手入れでマットレスはもっと長持ちする
マットレスを清潔に保ち、快適な寝心地を長くキープするには、湿気・汚れ・へたりの3つのリスクを日頃からケアすることが大切です。
今回ご紹介した7つのお手入れ方法は、どれもむずかしいものではありません。朝の掛け布団をめくる習慣から、月1回の掃除機がけまで、“今日からできること”がたくさんあります。ただし、素材やタイプに合わない方法を続けてしまうと、かえって劣化を早めてしまうことも。取扱説明書や洗濯表示を確認しながら、そのマットレスに合った方法でお手入れを行いましょう。
「毎回のお手入れは面倒…」という方は、軽量で扱いやすい素材のマットレスや、防水プロテクター・敷パッドの導入を検討するのもおすすめです。ちょっとした工夫が、大きな手間の削減につながります。
今 真一