低反発枕は基本的に「洗濯NG」。
水や熱でウレタンが劣化し、元の弾力や形を保てなくなる恐れがあります。
すでに洗ってしまった場合は、無理に乾燥機にかけず陰干しし、それでも変形やニオイが残る場合は「買い替え」を検討するのがベストです。
この記事の監修者
身長175㎝/体重62㎏。眠ハックの運営者。睡眠で悩む人の相談を受けたり講習会を通して睡眠の大切さを世に広める活動をしている。マットレスや枕選びはYouTubeで好評受付中。
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低反発枕を洗濯してはいけない理由
低反発枕の多くに使われているウレタン素材は、基本的に水洗いに適していません。
一度水に浸すと内部まで水分が入り込み、乾きにくくカビや変形の原因となります。具体的には次のようなリスクがあります。
低反発枕は絶対に洗濯NG
- ウレタンは水分を吸いやすく乾きにくい
- 内部に湿気が残りカビ・雑菌の温床になる
- 熱で変形・劣化が進む
ウレタンは水分を吸いやすく乾きにくい
低反発枕の主素材であるウレタンはスポンジのように無数の気泡があり、水を含むと内部まで染み込みます。表面が乾いて見えても内部に水分が残りやすく、完全に乾燥するまでに長い時間がかかるのが難点です。
内部に湿気が残りカビ・雑菌の温床になる
水分が残ったまま使用すると、ウレタン内部で湿気がこもり、カビや雑菌が繁殖しやすくなります。枕は毎日頭部や顔に触れるため、衛生面のリスクが高まり、アレルギーや臭いの原因になる可能性があります。
熱で変形・劣化が進む
ウレタンは高温に弱く、洗濯機の乾燥機能やドライヤーの熱で簡単に変形してしまいます。弾力が失われたり、表面が硬化してボロボロになることもあり、一度劣化が進むと元の快適な使用感には戻りません。
また、乾燥機やドライヤーで無理に乾かそうとすると、ウレタンの細胞構造が壊れてしまい、弾力性やサポート力を失う危険性も高いです。 清潔さを保ちたい方は「枕カバーのこまめな洗濯」や「本体の陰干し」でケアするのが基本です。汗をかきやすい体質の方や、衛生面を特に気にする方は、最初から水洗い可能な枕(ファイバー素材やパイプ素材)を選ぶと安心でしょう。
洗ってしまったときの対処法|できるだけ早く水分を取り除き、自然乾燥させる
低反発枕は基本的に洗濯NGですが、もし誤って洗ってしまった場合は「できるだけ早く水分を取り除き、自然乾燥させる」ことが重要です。以下の手順で応急処置を行いましょう。
すぐに取り出し、水分をタオルで吸い取る
水分をタオルで吸い取る際は、絞ったり叩いたりせずにやさしく押し当てる
洗濯槽や脱水機に入れっぱなしにすると、ウレタンが水をどんどん吸い込み劣化が進んでしまいます。見つけたらすぐに取り出し、乾いたバスタオルで表面と側面を押さえるようにして水分を吸収してください。
直射日光は避け、風通しの良い場所で陰干し
扇風機やサーキュレーターを弱風で当てて、時間をかけて自然乾燥させると早く乾かす
「早く乾かしたい」と直射日光に当てたくなりますが、ウレタンは紫外線や熱に弱く、硬化や変形を起こしやすくなります。必ず日陰で風通しのよい場所に立てかけて乾かしましょう。
乾燥が甘いとカビの原因になるので要注意
ひんやり感や重みが残っている場合はまだ乾いていない。焦らず完全に乾かそう。
表面が乾いても内部に湿気が残っていると、すぐにカビが繁殖します。
最低でも2〜3日は乾燥させ、完全に内部まで水分が抜けたかを確認してください。乾燥途中で枕を軽く持ち上げてみて、ひんやり感や重みが残っている場合はまだ乾いていないサインです。
低反発枕を干すときは、「型崩れ防止ネット」などの枕干しを使うことで上手に干すことができます。
型崩れ・へたり・異臭が残ったら使用中止
寝心地が完全に戻ることはほぼない。カビや雑菌が繁殖する前に買い替えるのが安全。
乾燥後に枕の形が戻らなかったり、押しても反発が弱くなっている場合はウレタンが劣化しています。
また、カビ臭や雑菌臭が残る場合は衛生的に危険です。そのまま使うと睡眠中にアレルギー症状や不快感の原因となるため、思い切って使用をやめ、買い替えを検討するのが安全です。
洗濯NGでもできるお手入れ方法
低反発枕は丸洗いできませんが、日頃の工夫で清潔さをキープすることは可能です。特に汗や皮脂はカバーに吸収されやすいので、本体を傷めないようにしながら以下の方法でケアしていきましょう。
枕カバーをこまめに洗う
枕本体を直接洗えない分、カバーを清潔に保つことが最も大切です。汗や皮脂はカバーに吸収されるので、最低でも週1回の洗濯を習慣にしましょう。汗をかきやすい人は、タオルを巻いて毎日交換するのも効果的です。
本体は陰干しで湿気を飛ばす
ウレタンは通気性が低いため、内部に湿気がこもりやすい素材です。月に1〜2回はカバーを外して、本体を風通しの良い日陰で半日ほど干すと劣化防止につながります。直射日光はウレタンを傷めるので避けてください。
消臭・除菌スプレー(アルコール系は避ける)
市販のファブリック用スプレーを軽く吹きかけると、においや雑菌対策になります。ただし、アルコール入りのスプレーはウレタンを劣化させる原因になるのでNG。ノンアルコールタイプや弱酸性タイプを選びましょう。
重曹を振りかけて消臭 → 掃除機で吸い取る
汗や皮脂によるにおいが気になる場合は、表面に重曹をまんべんなく振りかけて1〜2時間置き、その後掃除機でしっかり吸い取りましょう。重曹が湿気やにおいを吸着してくれるため、手軽に消臭できます。
低反発枕の買い替え判断の目安
乾燥させても明らかに弾力がなくペタンと潰れたままになっていたり、鼻を近づけるとカビ臭や雑菌のような嫌なにおいが取れなかったり、表面や縫い目の隙間に黒い斑点(カビ)が見える場合は、衛生的にも危険な状態のため買い替えを検討すべきです。
洗える代替枕のおすすめタイプ
低反発枕をうっかり洗ってしまい劣化した場合や、衛生面が気になる方には、丸洗い可能な枕への切り替えがおすすめです。
枕を衛生的に使い続けたい方は、最初から「洗える素材」を選ぶのが最も確実。特にファイバー系やパイプ系は水分を吸い込みにくく、乾燥も早いため扱いやすいのが特徴です。低反発の感触が好みの方も、最近は洗える特殊素材の枕が登場しているので、自分の睡眠環境や衛生面の優先度に合わせて選ぶと後悔が少なくなります。
「低反発が自分に合わないかも」と感じた方は、こちらの記事「低反発枕が合わない人の特徴 」も参考にしてください。
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まとめ|低反発枕は洗濯NG!正しいケアと代替枕を選ぼう
低反発枕はウレタン素材の特性上、水に弱く「洗濯NG」です。うっかり洗ってしまった場合はすぐにタオルで水分を取り、陰干しで時間をかけて乾かすのが唯一の対処法となります。ただし、乾燥後にへたり・異臭・カビが残るようなら、衛生面を考えて買い替えを検討するのが安全です。
清潔に使い続けたい方は、日常的にカバーの洗濯・本体の陰干し・消臭ケアを取り入れることが重要です。さらに、今後の失敗を防ぐためにも丸洗い可能なファイバー枕やパイプ枕といった「洗える枕」への切り替えを検討すると安心でしょう。
今 真一