ポケットコイルマットレスは耐久性に優れていますが、「長く使える=メンテナンスしなくてよい」わけではありません。寿命の目安だけでなく、劣化を早める原因や、正しい使い方を知っておくことで、寝心地の低下や体への負担を防ぐことができます。
この記事では、専門家の視点から「寿命を見極めるポイント」と「長持ちさせる方法」をわかりやすく解説します。
この記事の監修者
身長175㎝/体重62㎏。眠ハックの運営者。睡眠の質向上には寝具が重要と気づいて7年経つ寝具選びのプロ。自宅の一室は検証のためのマットレスだらけ。マットレス以外にも睡眠の大切さを世の中に広げる活動をしている。
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ポケットコイルマットレスの寿命はどれくらい?
ポケットコイルマットレスの寿命は、一般的に8〜10年が目安とされています。マットレスの中でも耐久性に優れ、低反発ウレタンや高反発ウレタン、ファイバー系に比べて長持ちしやすい傾向です。
なお、同じコイル構造でもボンネルコイルはポケットコイルよりやや寿命が長いとされますが、寝心地や振動の伝わりにくさなど総合的に見ると、ポケットコイルはバランスのとれた選択肢といえるでしょう。ボンネルコイルとの違いも理解しておくと、選び方の参考になります。
マットレス素材別|寿命・通気性・価格の比較
マットレスの寿命は素材によって大きく異なります。以下の比較表を参考に、自分に合ったタイプを見つけてみましょう。
素材 | 平均寿命 | 通気性 | 価格帯 (目安) |
特徴 |
---|---|---|---|---|
ポケットコイル | 8〜10年 | 中〜高 | 中〜高 | 体圧分散性と通気性のバランスが良い |
ボンネルコイル | 10〜12年 | 高 | 中 | 通気性は高いが振動が伝わりやすい |
高反発ウレタン | 5〜8年 | 低〜中 | 中 | 寝返りしやすく腰にやさしいが湿気に弱い |
低反発ウレタン | 4〜6年 | 低 | 中 | フィット感は高いが通気性が非常に悪い |
ファイバー | 7〜9年 | 非常に高い | 中〜高 | 通気性抜群・水洗いできて衛生的 |
ポケットコイルは通気性・耐久性・寝心地のバランスに優れ、多くの人にとって「長く使いやすい標準タイプ」と言えます。
ポケットコイルマットレスの劣化の原因
「まだ買ったばかりなのに、もうヘタってきた…」
そんな不安を感じたことはありませんか?
ポケットコイルマットレスは耐久性に優れた構造ですが、使用環境や日々の使い方次第で、寿命が大きく変わることもあります。以下では、マットレスが劣化しやすくなる主な原因を6つにまとめました。
マットレスの寿命を縮める6つの主な原因
- 長期間の使用による沈み込みやへたり
- 汗や湿気による汚れ、臭い、カビ、ダニの発生
- 体重や身体形状の変化によるホールド感の低下
- ベッドパッドや敷パッド不使用による汚れや磨耗
- 風通しや湿気対策の不備によるカビ、ダニの繁殖
- 過剰な力や圧力によるコイルの変形・抜け出し
上記のような原因は、気づかないうちにマットレスの劣化を進行させてしまいます。
放置してしまえば、本来の寿命を全うする前に買い替えが必要になる可能性も。次の章では、こうした劣化を防ぎ、ポケットコイルマットレスを長持ちさせるための具体的な対策を紹介します。
ポケットコイルマットレスの寿命を延ばすコツ
マットレスはより長くよりいい状態で使いたいですよね。マットレスの寿命を延ばす3つのコツを紹介します。
- 湿気対策をする
- 定期的にローテーションする
- マットレスを保護する
湿気対策をする
ポケットコイルマットレスを使うなら、必ず湿気対策をしましょう。マットレス内部に溜まった湿気は劣化を早める大きな原因のひとつです。そもそもマットレス内部に湿気が溜まる要因は、私たちの寝汗です。毎日のコップ1杯の寝汗が、マットレスに吸収されて湿気として溜まります。
ポケットコイルマットレスに溜まった湿気は陰干しで放湿しましょう。頻度は少なくとも週1回。晴れた日に壁に立てかけて風を通すだけで湿気を除去できます。
ただ、女性や年配の人がポケットコイルを持ち上げるには、かなり重いはず。そんなときは、取り回しがしやすく湿気対策も簡単な、軽くて扱いやすい三つ折りマットレスを検討してみるのもおすすめです。
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定期的にローテーションする
ポケットコイルマットレスは、定期的にローテーションしましょう。ローテーションとはマットレスの上下表裏を定期的に入れ替えながら使うことで、長持ちさせるもっとも簡単な方法です。
マットレスは使ううちに、体重による体圧でヘタります。いくら大きいマットレスでも、私たちが横になるのはだいたい真ん中。同じ部分にばかり体圧が集中して、内部のポケットコイルが回復しにくくなります。
ポケットコイルマットレスは最低でも3カ月に1回はローテーションしましょう。上下左右、均等に負荷がかかり、劣化するスピードが緩まります。ただ、シングルでも20kg前後と、かなり重いマットレスです。裏返すときは、家族や友人に手伝ってもらってくださいね。
マットレスを保護する
長く清潔に使用するためにも「ベッドパッド」や「敷パッド」でマットレス本体を保護しましょう。
ベッドパッドや敷パッドは、寝汗による湿気溜まりや汗染み汚れから守ってくれます。
また寝心地をさらに良くするものや防ダニや防臭性能があるものもありです。
敷パッドはシーツの上に敷いて快適性を高める目的で使います。
直接肌に触れるため、肌触りにこだわったものが多いのも特徴です。
使いかたや使う目的は異なりますが、どちらも吸湿性に優れた便利なアイテムです。敷くだけで簡単にマットレスを守れるので、ぜひ使ってみてくださいね。
あなたのマットレスは寿命かも?チェックしてみましょう
ポケットコイルマットレスの寿命は8~10年が目安とされていますが、実際には「寝心地の違和感」や「ヘタリ具合」など、状態によっても買い替えのタイミングは異なります。以下のチェックリストで、あなたのマットレスが寿命に近づいていないかを確認してみましょう。
チェック項目 | 該当する? |
---|---|
購入から8年以上が経過している | ☐ はい |
寝ると真ん中が沈んでいる | ☐ はい |
寝起きに腰や肩が痛い | ☐ はい |
ギシギシ音がする | ☐ はい |
スプリングが背中に当たる | ☐ はい |
表面にシミ・カビがある | ☐ はい |
☑ 3つ以上当てはまった方は、寿命のサインかもしれません。
快適な睡眠のために、買い替えを検討してみてください。
ポケットコイルマットレスの買い替えタイミング5選
マットレスを買い替えるタイミングが分からずなんとなくズルズル使うこともあるでしょう。ここではポケットコイルマットレスを買い替えるタイミング5選を紹介します。
あらためてどんなときに買い替えるべきか確認してみてください。
- スプリングが外に出ている
- スプリングからギシギシ音がする
- スプリングが背中に当たる
- マットレスのヘタリがひどい
- 表面に破損や汚れがある
もし買い替えを検討している方は、ポケットコイルのおすすめ人気15選もぜひ参考にしてみてください。
スプリングが外に出ている
これはほとんどないかと思いますが、ポケットコイルに内蔵されているスプリングが外に出ていたら買い替えのタイミングです。
マットレス内部の詰め物や表地も突き破ってはみ出した金属があなたの体に刺さる可能性があります。「マットレスの端のほうならいい」と考えるのはかなり危険です。
睡眠中の動きは、自分自身で制御できるものではありません。万が一のことを考えて、早めに買い替えましょう。
スプリングからギシギシ音がする
マットレスからギシギシ音が聞こえるようになったら買い替えをおすすめします。
ギシギシ音はポケットコイルに内蔵されているスプリング同士がこすれあう音で、スプリングの劣化や変形といった不具合が原因です。ギシギシ音は寝返りを打つたびに鳴り、スムーズな入眠を妨げたり睡眠の質を低下させます。睡眠不足の原因にもなりかねません。
スプリングが背中に当たる
マットレス内部のスプリングが背中に当たる感じがあれば、買い替えを検討しましょう。違和感を覚えたまま使い続けていると、睡眠の質の低下や体を痛める可能性もあります。
厚めのマットレスカバーやマットレストッパー背中に当たる感じを和らげることはできます。ただ、根本的な解決にはなりません。なるべく早めに買い替えるようにしましょう。
マットレスにヘタリがある
マットレスは使い続けているうちに内部の詰めものがヘタってきます。寝たときに体が沈みすぎる、腰が沈んで「く」の字になるといった状態であれば早めに買い替えを検討するべきサインです。
ヘタリのあるマットレスを使うと寝姿勢が崩れやすく、腰や肩にかなりの負担がかかります。寝起きの体のだるさ、腰痛や肩こりといった不調も感じるようになるでしょう。
表面にカビがある
ポケットコイルの表地に表地にカビが生えているのもNGです。
マットレスのホコリや湿気を好むカビは、空気中にも浮遊します。浮遊したカビが体内に入ると軽い咳や微熱、さらには重度のアレルギーの原因になるでしょう。
マットレスに一度生えたカビの除去は簡単ではありません。完全に取り除くことも不可能とされています。
まとめ|ポケットコイルマットレスを長持ちさせる3つのコツ
ポケットコイルマットレスは、適切な使い方をすれば10年前後と長く快適に使えるマットレスです。
ただし、耐久性が高いからといって油断は禁物。湿気や体圧の偏り、汚れなどの蓄積が寿命を縮める原因になります。
最後に、長く使うために意識しておきたい基本の3ポイントを確認しておきましょう。
寿命を延ばす3つの基本習慣
- 湿気対策をする(陰干し・除湿シートなど)
- 定期的にローテーションする(3ヶ月に1回が目安)
- ベッドパッドや敷パッドで汚れや摩耗を防ぐ
どれも今日から始められるシンプルな工夫ばかりです。買い替えサイクルを伸ばしながら、快適な睡眠を長く楽しみましょう。
なお、マットレスの寿命以前に「体に合っていない」ことが原因で不調を感じるケースもあります。特に腰痛が気になる方は、腰痛が悪化するポケットコイルの特徴とは?の記事もあわせてご覧ください。
今 真一