唾液は本来、虫歯や歯周病を抑制したり、細菌の侵入を防ぐために働きます。
朝起きたら口周りがベタベタ、枕が湿っぽいなど、唾液が外に出ていたら口内環境を維持するために改善が必要です。
そこで今回はよだれが出る原因と弊害、よだれを改善する方法について詳しく紹介していきます。
睡眠中によだれがでる原因
睡眠中によだれが出る原因は、口呼吸になっていることです。
本来は「口を閉じて鼻呼吸」が正しい状態ですが、鼻づまりや何らかの症状を患っている人は鼻呼吸が十分にできません。
睡眠中に不足している酸素を補おうとして口が開き、口呼吸になります。
鼻呼吸であれば垂れることのないよだれも、口が開いていれば外に出てしまいます。
よだれがでる以外のデメリット
また、口呼吸はよだれが垂れる以外にもデメリットがあります。
例えば乾燥した空気が体内に入り、喉や肺の粘膜を傷めることです。
傷ついた粘膜はウイルスが付着しやすいため、口呼吸する人は風邪を引いたり体調を崩しやすくなります。
そのほかにも睡眠中の口呼吸により健康を害する可能性があるため、早めに改善策を検討しましょう。
睡眠中に口が開くと起こる弊害
睡眠中に口が開くことで、体にはさまざまな弊害が起こります。ここでは3つの弊害について確認しましょう。
- 睡眠の質の低下
- 体調を崩しやすくなる
- 口内環境の悪化
睡眠の質低下
睡眠中に口が開いて口呼吸になると睡眠の質が低下します。
快眠のポイントとして「深部体温を下げること」が広く知られていますが、実は脳の温度も重要です。
鼻の奥には脳とつながる毛細血管がたくさん通っており、鼻呼吸により冷たい外気が通ると脳が冷やされます。
すべての臓器の司令塔である脳が冷やされることで自律神経が整い、睡眠で疲れも取れやすくなるのです。
しかし口呼吸で入った空気では、脳の温度を下げることはできません。喉を通り肺に流れるため、脳を冷やす毛細血管には外気が届かないためです。また、口を開けたまま寝ていると「睡眠時無呼吸症候群」になるリスクが高まります。
睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に何度も10秒以上息が止まる病気で、重症のまま放置すると命にも関わる危険な疾患です。低酸素状態が続くため寝ていても脳が休まらず、昼間に強い眠気を感じたり、体にダルさを感じやすくなります。
体調を崩しやすくなる
口が開いて口呼吸になると体調を崩しやすくなります。
鼻呼吸では鼻毛や鼻の粘膜がフィルタのように働くため、ウイルスやホコリ、花粉といった不純物は体内に入れません。
しかし、口には鼻のようなフィルタ機能がないため、気道に不純物が直接入ります。特に睡眠中は意識的に口を閉じることができません。
気道の粘膜は長時間外気にさらされることになり乾燥してしまいます。乾燥して傷ついた粘膜は、ウイルスや細菌が繁殖しやすいため、風邪や感染症を患いやすくなるといえるでしょう。
口内環境の悪化
睡眠中に口が開いて口呼吸になると口内環境が悪化します。「よだれ」の量が減少し乾燥するためです。
よだれには口内を浄化したり、殺菌・抗菌する作用がありますが、口が開いたままでは正しく働きません。よだれの量が減少し乾燥するため、睡眠中の口内は雑菌が繁殖しやすい環境になります。
虫歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、抗菌作用も薄れるため外から侵入した菌が繁殖しやすい環境です。また、自分自身でも感じやすい変化として口臭も悪化します。
よだれには口内の健康を維持し、虫歯や歯周病の予防、口臭の悪化を抑制する効果があります。よだれの持つ抗菌作用は外からの細菌の侵入を防ぐので、身体の免疫力を高めることにもつながります。
寝ているときによだれがでないようにする方法
寝ているときによだれが出ないということは、正しい鼻呼吸を促すということです。今回はよだれが出ないようにする治し方を4つ紹介します。
口閉じテープを活用する
睡眠中の口呼吸対策として「口閉じテープ」を活用しましょう。
口閉じテープとは、睡眠中に口が開かないように貼るテープのことです。テープにより強制的に口もとが固定されるため、睡眠中の口呼吸を防ぐことができます。
口呼吸対策用に「口閉じテープ」「鼻呼吸テープ」として市販されているテープを使えば安心ですが、他のテープでも代用可能です。例えば医療用の紙テープやマスキングテープなら、肌に負担も少なく使いやすいでしょう。
好きな長さに指でカットできるから、使いかたも簡単。ドラッグストアなどで気軽に購入できます。
貼りかたのポイントは軽く閉じた唇の真ん中に、ゆるく貼ることです。
口もとを固く閉じて貼ったり、固定しすぎないように注意しましょう。しっかり固定しすぎると、苦しさを感じたり、ゆるく貼るより取れやすくなります。
鼻呼吸を意識する
普段の生活のなかで鼻呼吸できているか、口呼吸になっていないかチェックする習慣を作りましょう。
とくに花粉が飛ぶ時期や冬の寒い時期になると、マスクをつけっぱなしになる人は要注意です。
マスクをしている苦しさから口が開いていたり、口もとが隠れている安心感から気が緩み口呼吸になる人もいます。トイレや昼食のときにマスクを外して休憩したり、気づいたときに「口もとが開いていないか」意識するようにしましょう。
枕の高さを見直す
睡眠中に口が開く原因に「枕の高さ」があります。体に対して低すぎる枕を使っていないか、枕が体に合っているか確認しましょう。
理想的な枕の高さは、あお向けの状態で、寝具と首の角度が約5度になる高さです。
低すぎる枕に頭をのせると、重みで後ろに引っ張られます。自然に頭が下がった状態になり口が開いて、口呼吸やいびきを促進します。
顔の筋力をアップさせる
口呼吸に悩んでいる人は、顔面筋力アップの習慣を取り入れてみましょう。
顔や顎の筋力が低下すると口が開きやすくなり、口呼吸になります。顔面筋力アップする主な方法は食事のときにしっかり噛むことです。
早食いしないで一口30回を目標に噛んでください。咀嚼する回数が増えれば顎の筋力アップが期待できます。
また、しっかり噛むことで、胃腸への負担軽減にもつながります。一日に数回ガムを噛んでもOKです。
睡眠中のよだれの役割ってなに?
睡眠中のよだれの役割は、主に口内の健康維持です。
歯や歯茎についた食べかすを洗い流す浄化作用により、虫歯の予防や歯の修復を助けます。また細菌の増殖を抑制する殺菌・抗菌作用のおかげで、虫歯や歯周病の予防を助けるといった役割もあります。
睡眠中に口が開いてよだれが外に出たり、口内が乾燥するとよだれの持つ本来の効果が得られません。
虫歯や歯周病になりやすいほか、口臭の悪化や口内のネバつきも感じやすくなります。口閉じテープや枕の力も借りながら、鼻呼吸を意識して改善を促しましょう。
まとめ
よだれの原因は、睡眠中に口が開いて口呼吸になり、唾液が外に出ることです。
長い間口呼吸で寝ていると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
口内や気道が乾燥してウイルスや細菌が付着しやすい環境になるため、風邪や感染症もひきやすいです。
また口呼吸には、鼻呼吸のような脳を冷やす働きがないため、深い眠りに入りにくく疲労が溜まります。
まずは口閉じテープを利用したり、枕の高さを調整して鼻呼吸を促してみましょう。そ
れでも改善されない場合は、アレルギー性鼻炎や蓄膿症など別の病気に原因があるかもしれません。早め病院で相談してみましょう。