オーガニック、よく聞く言葉だけどなんとなくで理解していませんか?
まず、ひとつ質問です。
オーガニックコットンはどんなイメージでしょうか?
「肌に優しい」
まっ先にこのフレーズが頭に浮かんだ方も多いと思います。
でも違うんです。
肌への影響は化学繊維を使ったものとほとんど変わりません。
むしろオーガニック製品のもののほうが気をつけなければならない場合もあります。
オーガニック食材への関心は年々高まってきています。
しかし、まだまだ繊維素材へのオーガニックは関心がもたれていないのが現実。
毎日使って、毎日ふれるまくらやシーツ。
この記事を機会にすこし「オーガニック」について知っていただけたらなと思います。
本当に質のいいものを見極める力をつけましょう。
目次
オーガニックが推奨される本当の理由
では、肌への影響はほとんど変わらないのにオーガニックの製品をおすすめしている企業や団体がいるのはなぜでしょう。
それはオーガニック認定の基準からわかります。
ウールやコットン、絹などの原料繊維がオーガニックであることだけではなく、繊維の収穫〜加工〜製造〜流通の全ての過程において環境的・社会的に配慮した方法が実行され、一般製品との混合や汚染がないように管理されていることの目印。
原料の70%以上がオーガニック繊維であること、加工がオーガニックな方法で行われている事、遺伝子組換え技術を使用しない事、水・エネルギーの使用に関して環境目標を設定している事、毒性のある薬剤を使用しない事、衛生的で安全な労働環境である事、搾取や差別のない労働条件を満たしている事、トレーサビリティー(生産履歴の追跡可能性)が確保されている事。
つまり、、、
●製造工程で環境と社会に配慮している
●栽培時に環境に配慮していること
●労働環境や労働条件に差別がないこと
以上のような、栽培から販売までのさまざまな条件をみたした製品がオーガニックと認められます。
簡単にいうと、「自然環境と、その栽培をする労働者にやさしい素材」であることがオーガニック素材の推奨企業が増えてきている理由となります。
もう一度いいますが、「化学繊維を使った商品が肌へ悪い影響を与えて、オーガニックコットンやリネンが肌にやさしい」というのは間違った解釈のしかたです。
オーガニックは敏感肌へのプラス効果はないの?
いまのところ確証のあるデータはありません。
ただ、有機栽培された「コットン」は化学肥料を通常量使われるものよりも、多く空気を含んだ綿ができるためよりふわふわな繊維にすることができます。
なので、効果がないとは言いきれず、多少なり通気性や肌触りがよくなります。
そういった意味では、敏感肌への負担を緩和できる程度の期待はできるでしょう。
「オーガニック=安全」は間違い?
オーガニックコットンやオーガニックリネンは栽培時の農薬の制限が確かに厳しい基準となっています。
ただ、オーガニックでないコットンでつくった製品に直接触れているからといってからだに悪影響を及ぼすとは言いきれません。
むしろ、化学繊維を織り込んでいる枕カバーやシーツの方が、機能性も高くなり高品質ともいえます。
普通のコットンは肌に悪い?
通常のコットンが残留農薬で肌に影響を与えることはありません。
普通のコットン栽培時の化学肥料が、でき上がった衣服に残ることはないからです。
なぜなら、収穫前の農薬の散布は禁止されていたり、製品になるまでに洗浄や精製が繰り返されているから。
そのため、できあがったものが人の肌に触れて問題が起こるなんてことはないのです。
「オーガニック=安全」は間違いではありませんが、「通常のコットン=農薬の影響がある」は語弊があります。
オーガニック表記
日本ではオーガニック製品の表示が緩いところがあります。
原料はオーガニックでも、加工法などに化学成分を使っていることが実は多いのです。
食品以外のオーガニック表示の規制がないんです。
そのため、「オーガニック」とうたわれているだけでは安心できません。
特に値段の安いオーガニック製品には注意です。
もし、まちがった選び方をしてしまうと、出産祝いで良かれと思ってあげたオーガニック製品が、赤ちゃんの肌に良くない影響を与えてしまう恐れがあります。
ではどうやって見分けるのかというと、厳しいオーガニック認証をクリアした製品には「認証マーク」がタグについてます。
そのタグを見つけたら少なくとも基準はクリアしているものと判断できるでしょう。
(繊維の)オーガニック認証マーク
ここでは繊維に関するオーガニック認証機関を中心にご紹介します。
■オーガニックテキスタイル世界基準
Global Organic Textile Standard(GOTS)
設立年 | 2002年 |
認証取得件数 | 5,024件(2017年) |
認証対象品目 | 繊維製品全般(洋服・寝具・ベビーカー・糸・布・コットンパフ・タオル など) |
オーガニックの比率で認証マークが若干変わります。
原料の生産(生産者の労働環境)から製品の製造、流通、販売、トレーサビリティまで広い範囲での「オーガニック」認定基準です。
■オーガニックコンテントスタンダード
Organic Content Standard(OCS)
設立年 | 2002年 |
認証取得件数 | 3,643件(2017年) |
認証対象品目 | 繊維製品 |
世界基準のマークで、有機原料95~100%の食品以外の製品に適用されます。
主に生産と製造に関する認証基準です。
生産者の労働やフェアトレードには関わっていませんが、製品自体の素材やオーガニック比率が保証されるマークです。
参照サイト:JSL公式ホームページ
コットンの代表的な生産地「インド」
本当に「農薬の大量使用」で影響を受けているのは「生産者」なんです。
実際に、世界全体の農薬使用のうち25%はコットン栽培農家で使われているというデータがあります。
インドのコットン農家は平均寿命が短いデータも。
いま自分たちが使っているモノの生産者のこと考えたことはありますか?
世界第2位のコットン生産国インド。
世界第2位といえば聞こえはいいのでしょうが、その内情は複雑です。
安い労働単価、児童労働、農薬による土壌汚染、不公平な交易、そして自殺問題まで…
苦しい農家経営で不作のときには借金を返せない農家がでてきます。
インドでは自殺者がでると、政府から見舞い金がでるらしく、借金返済のために自殺をしてしまうケースがあるんです。
オーガニックを選ぶことで支援
色々な問題があるにしても、「インドに出向いて支援すること」は自分の生活も大事なわけですから、なかなかできるものではありません。
そこで、僕なりにできることを考えるとやはり生活の中で、オーガニック製品を選ぶことだと思います。
世の中にはたくさんのオーガニック製品があります。
恥ずかしながら、以前は今回の記事内容の知識がなかったもので、「ただおしゃれな感じ」とか「女性が好む」とかその程度の解釈でした。
ただ、オーガニックについて自分で調べることによって、「環境」と「人」にやさしいモノだということがわかったわけです。
現地に出向く行動力はないけれど、日々の生活でできることがあるなら僕は協力していきたいと思います。
まとめ
オーガニックの正しい意味、考えさせられる内容です。
ここでオーガニック製品を買いましょう!
なんていってもただの偽善者になりかねないと思うし、そんな大きい声で進めるわけでもありません。
実際、オーガニック製品は「肌にやさしい」「からだにやさしい」で売り出した方が、興味を持たれて買われやすいのかもしれません。
僕的に今回の記事は、現状オーガニック製品に興味あるひとではなく、オーガニックにまったく興味のなかったひとに届けばいいなとおもって執筆しました。
オーガニックを購入すると
●労働者にやさしい
●環境にやさしい
●すこしだけやさしい気持ちになる
「オーガニック」ということばが、これまでとは違った見え方になっていただければ幸いです。